EC-CUBEとは

EC-CUBEは、株式会社イーシーキューブが提供する日本発の誰でも無料で利用・改変できる「オープンソース」のEC構築パッケージです。改変も自由なので、カスタマイズすればオンライン予約やカスタムオーダーなど、ASPサービスでは実現できないさまざまな販売形態のサイトを作ることも可能です。
株式会社イーシーキューブはECサイトの運営・管理に特化したCMS(コンテンツマネジメントシステム)を提供しており、月商1,000万円以上のネットショップにおけるカートシステムとしては国内でも最大級の利用率を誇ります。
さらにダウンロード数180万以上、推定稼働店舗数3万5,000以上と、オープンソースのECサイト構築パッケージとしても国内で最大規模のシェアを占めています。
ECパッケージを提供している会社はほかにもありますが、多くの場合は有料です。一方でEC-CUBEはソースコードを無償で公開するオープンソースとして提供しているため、無料でも使用可能です。
改変も自由にできるため、プラグインの導入やカスタマイズによってBtoBサイトの構築やオンライン予約、定期購入など、さまざまな販売形態にも対応できます。
EC-CUBEの主な機能
EC-CUBEの主な機能は以下のように分られます。
- ECサイトの構築・デザイン
- 会員・非会員向け機能
- 商品管理
- 顧客管理
- 店舗情報の管理
各機能について以下で見てみましょう。
ECサイトの構築・デザイン

EC-CUBEはデザインのカスタマイズ性に優れているため、利用者にとって使いやすいECサイト構築やブランディング向上を図れます。
EC-CUBEにはオリジナルのデザインテンプレートが70種類以上あり、わずか数分でプロが作成したデザインを自社サイトに導入できます。また、オーナーズストアでは350種類以上の拡張プライグインが販売されており、それらを利用すれば自社サイトに必要な機能を手軽に実装することも可能です。
EC-CUBEはデフォルトのテンプレートでも、さまざまな端末に合わせた表示ができるレスポンシブデザインに対応しています。また、レスポンシブ対応とは別にスマートフォン専用のレイアウト設定も可能です。
会員・非会員向け機能
EC-CUBEには基本的なショッピングカート機能だけでなく、多彩な機能が備わっています。なかには会員だけが使える便利な機能もあります。
会員・非会員共通で使える機能はショッピングカートや支払い方法の選択、複数お届け先の入力、商品一覧からのカート追加、各商品のお気に入り登録、配送時間の指定、お問い合わせフォームなどです。
EC-CUBEの会員向け機能としては、会員登録やログイン設定、注文履歴の確認、配送先の編集、お気に入り一覧確認、ポイントシステムなどがあります。また、会員登録なしでの購入も可能です。
商品管理

EC-CUBEは商品管理に便利な機能が多数あり、ECサイト管理作業の効率化につながります。たとえば、ひとつの商品に対してサイズや色などの規格、詳細情報、複数の商品画像の登録、カテゴリー・タグ・キーワード検索項目をつけての管理なども可能です。
また、商品詳細ページを表示するフリーエリアの編集や、在庫情報登録、販売制限などの機能も利用できます。
くわえて、商品一覧画面で公開・非公開・廃止・削除といった操作を一括ででき、商品・カテゴリデータのCSV出力や登録も可能です。
顧客管理

EC-CUBEには顧客管理に便利な機能も多数あります。主なものに顧客情報の登録・編集やお届け先管理、問い合わせ番号(出荷伝票番号)検索、受発注状況管理などの機能が挙げられます。また出荷メールの一括送信や、任意のタイミングでの各種メール送信設定なども可能です。
さらにプラグインの追加により、販売促進や分析機能も拡張できます。なかでも売上ランキングをECサイト内に表示する機能や、商品をカートに追加する画面でおすすめ商品をレコメンドする機能、またバナー管理プラグインやメルマガ配信プラグインなどが人気です。
店舗情報の管理
EC-CUBEでは店舗情報の管理も効率化できます。具体的には、ECサイト運営に必要な店舗・会社情報、会員規約、支払い方法および各種手数料、配送業者・配送料、ポイント付与率などの設定・編集などが簡単に行えます。
また、ECサイト管理画面にログインできる管理者登録やセキュリティ管理、各種情報のCSV出力、納品書のPDF出力なども可能なため、効率良く安全にECサイトを管理できるでしょう。
EC-CUBEの主なメリット
EC-CUBEを導入する主なメリットは次の4つです。
- 無料でインストールできて開発・運用コストを抑えられる
- カスタマイズ性が高い
- 日本での実績が多く情報を得やすい
- 豊富な決済手段を導入できる
それぞれの項目を見てみましょう。
無料でインストールできて開発・運用コストを抑えられる

ECサイトを制作会社に依頼して一から構築する場合、構築・運営にそれぞれ多大なコストがかかることがあります。その点、オープンソースとして提供されているEC-CUBEダウンロード版なら、誰でも無料でインストールできます。
レンタルサーバーの月額費用やメンテナンス費用、ドメインの取得・維持費用といったランニングコストはかかるものの、無料テーマやプラグインのみを利用する場合は初期費用を抑えてECサイトの構築が可能です。
また、EC-CUBEクラウド版「ec-cube.co 」を利用する場合、月額費用は販売額によって変動します。上限も決まっているため、規模に応じた料金でECサイト運営が可能です。
カスタマイズ性が高い

カスタマイズ性の高さもEC-CUBEのメリットです。先述のように、EC-CUBEにはオリジナルのデザインテンプレートが70種類以上あります。さらにブロック・レイアウト機能により、フロントページ・マイページ・管理画面のレイアウトを簡単に編集できます。
デザイン面のカスタマイズはもちろん、さまざまな機能の拡張も簡単にできる点もEC-CUBEのメリットです。必要な機能の無料または有料のプラグインをインストールすることで、自社サイトを自由にカスタマイズできます。
日本での実績が多く情報を得やすい

オープンソースのECサイト構築サービスはEC-CUBEだけでなく、osCommerceやMagento、Zen Cartなどが挙げられます。しかし海外製のものが多く、ECサイトの運営上トラブル発生時などに英語での対応が求められる場合があるでしょう。
その点、EC-CUBEは日本製のサービスなので、公式サイトのマニュアルなど日本語での情報が簡単に手に入ることは大きなメリットです。
さらに、開発者や多数のショップ運営者が参加している「EC-CUBE開発コミュニティ」では、EC-CUBE利用における情報が共有されてます。また、利用者のブログなども散見されるため、Google検索により簡単に日本語での情報を入手できます。
豊富な決済手段を導入できる
EC-CUBEは決済サービスが充実している点もメリットです。EC-CUBE公式の決済サービスであるプラグイン「EC-CUBEペイメント Plus」を使えば、店舗の規模を問わずクレジットカード決済を簡単に搭載できます。EC-CUBEペイメント Plusで使える決済サービスには以下が挙げられます。
- 主要国際クレジットカード(VISA、Master、Dinars Club、JCB、American Express)
- PayPay
- コンビニ払い(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート、セイコーマート、ミニストップ)
- ネット銀行(PayPay銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、ペイジー)
- 代引き(ゆうパックコレクト、カンガルー代引)
- 電子マネー(BitCash、ウェブマネー、電子マネーちょコム)
- スマートフォンキャリア決済(d払い、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて決済)
- 口座振替決済
- 後払い決済(GMO後払い)
- 銀行振込(バーチャル口座)
利用できる決済方法は、法人・個人といった契約形態、またプランによっても異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
EC-CUBEのデメリット

EC-CUBEの利用を検討する場合はデメリットも把握しておきましょう。主なものには次の2つが挙げられます。
- ダウンロード版はサイト制作のスキルとセキュリティ対策が必要
- 集客は自分で行わなければならない
それぞれ以下で解説します。
ダウンロード版はサイト制作のスキルとセキュリティ対策が必要
EC-CUBEダウンロード版の場合は無料でインストールできますが、ECサイトを作成するにはWebデザインやプログラミングなど、サイト制作の知識がある程度必要です。
そういった知識に自信がない場合は、クラウド版を利用してテンプレートなどを活用したサイトを制作するか、別途ECサイト制作会社に依頼する必要があります。
また、EC-CUBEダウンロード版のようなオープンソースのソフトウェアはカスタマイズしやすい反面、セキュリティが脆弱な恐れがあり、自身で対策しなければなりません。EC-CUBEクラウド版の場合は、セキュリティ対策がされておりメンテナンスも不要です。
集客は自分で行わなければならない
自社で構築するECサイトは、一般的にAmazonや楽天市場のようなショッピングモール型よりも知名度が低く、集客力が劣ります。また、EC-CUBEには集客や宣伝を行う機能はありません。そのため、自分で集客を実施する必要がある点がデメリットです。
ただしショッピングモール型は出店料が高く、競合との価格競争になりやすいといったデメリットが存在します。そのためネットショップを運営する際は、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
EC-CUBEの料金プラン

EC-CUBEにはダウンロード版とクラウド版Liteプラン・Standardプランの3種類があります。ただし、クラウド版Liteプランは2023年5月現在、新規登録受付を停止しているのでご注意ください。
ダウンロード版は無料で提供されていますが、ECサイトを構築するためには自分でレンタルサーバーやドメインを契約する必要があり、別途コストがかかります。
クラウド版Standardプランは初期費用70,000円、月額費用は49,800円~84,800円です。月額費用の金額は月々の販売価格によって変動します。
おすすめはクラウド版Standardプランです。セキュリティ対策が万全でメンテナンスフリー、さらにテンプレートの活用やデザインのフルカスタマイズまで可能です。カスタマイズディレクトリでソースコードの編集もできプラグインも自由に選べるため、自社に合わせて柔軟にECサイトを構築できます。
EC-CUBEの導入方法
ここでは、EC-CUBEの導入方法や手順について、クラウド版とダウンロード版に分けて紹介します。
クラウド版でECサイトを作成する場合
EC-CUBEクラウド版でECサイトを作成する手順は次の5ステップです。
- 1. ec-cube.co(クラウド版)サービスに申し込み、アカウントを取得する
- 2. 決済方法を導入する
- 3. レイアウトやデザイン、機能のカスタマイズを行う
- 4. 商品登録・各種設定を行う
- 5. ECサイトをオープンする
アカウント取得や決済方法の導入には日数を要する場合があるため、スケジュールに余裕をもって申し込むようにしましょう。特に、クレジットカード決済の導入にあたっては、審査などを含めて1カ月以上かかる場合があります。
またECサイトのカスタマイズや商品登録・各種設定にも時間を要するため、リリース予定日から逆算してスケジュールを立て、計画的に準備を進めるようにしましょう。
ダウンロード版でECサイトを構築する場合
EC-CUBEダウンロード版でECサイトを作成する手順は次の6ステップです。
- 1. レンタルサーバーを準備する
- 2. EC-CUBEをダウンロードし、レンタルサーバーにインストールする
- 3. 決済方法を導入する
- 4. レイアウトやデザイン、機能のカスタマイズを行う
- 5. 商品登録・各種設定を行う
- 6. ECサイトをオープンする
クラウド版と同様、決済方法の導入やカスタマイズ、商品登録・各種設定には日数を要する場合があります。開店時期から逆算して、スケジュールに余裕をもって準備しましょう。
EC-CUBEの決済機能は別途契約が必要
EC-CUBEに決済機能を搭載するには、別途契約が必要です。ただし、クレジットカード各社やその他決済会社と個別に契約するのは非常に煩雑といえます。
おすすめは公式の決済サービスである「EC-CUBEペイメント Plus」です。GMOインターネットグループのGMOイプシロン株式会社が提供しています。
EC-CUBEペイメント Plusは、コストと労力を抑えてECサイトを開業したい事業者を対象に、豊富な決済手段を一括で導入できるサービスです。導入時だけでなく運用においても、入金や支払い管理などの効率化も見込めます。
EC-CUBEで効率的にECサイトを運営しよう

EC-CUBEはテンプレートなどを用いて簡単にECサイトを構築できる、日本発のオープンソースによるサービスです。
EC-CUBEには無料のダウンロード版と有料のクラウド版があります。セキュリティ面やカスタマイズ性を考慮すると、クラウド版Standardプランがおすすめです。クラウド版ならサイト構築の知識や技術がなくても、簡単にECサイトの構築、効率的な運用ができます。
EC-CUBE公式サイトはこちら
また、ECサイトに導入する決済機能には、さまざまな決済方法を一括で導入できる公式の決済サービス「EC-CUBEペイメント Plus」がおすすめです。コストを抑えて効率的な決済管理が見込めます
EC-CUBEペイメント Plusの詳細はこちら
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