ECサイト運営で知っておくべき
「チャージバック」とその対策
チャージバックとは、カード決済においてカード会員が不正利用被害やサービス未提供などによりカード会社への支払いを拒絶することです。
カード会員が「身に覚えのない請求が入っている」「商品が届かない」などの理由でカード会社へ異議申し立てすることでカード会社による調査が行われます。調査の結果、カード会社が加盟店様に対して売上の返還を求める場合があります。
カード会社より売上の返還が求められた場合、商品の発送状況やサービス提供有無に関わらず、加盟店様はそれを拒否することはできません。
なお、チャージバックとは一般的にカード決済において発生するものですが、その他決済手段においても同様にチャージバックが行われる場合があります。
健全なECサイト運営を行うためにも、チャージバックの仕組み・流れを理解しておくことが大切です。
チャージバックが発生する主な理由
- ・カード会員本人による利用否認(3Dセキュア取引以外の場合、第三者によるなりすましを含む)
- ・商品未配送/サービス未提供 :加盟店様が商品を発送しない、またはサービスを提供しない場合
- ・商品やサービスが契約内容と異なる:受け取った商品やサービスが説明と大きく異なる、または破損している場合
- ・商品配送中のトラブル :商品は発送したが、輸送中に紛失したり、届かなかった場合(特に海外発送におけるリスク)
- ・受け取り拒否 :商品が届いたが、購入者が受け取らず(故意または過失に関わらず)返送された場合
- ・無効なカードでの決済:注文受付から決済完了までの期間が長期間になり、その間に使用されたカードが無効になった場合
- ・調査対応の不備:決済事業者からの調査に対し、加盟店様が十分に対応しなかった場合
(例: 配達証明の提出ができない、調査内容の説明が不十分) - ・購入者に対する対応の不備:購入者からの問い合わせに対する加盟店様の対応が不十分だった場合
(例: キャンセル漏れ/返金対応が未処理) - ・重複決済の発生:重複して決済され、サービス提供が確認できない取引が発生した場合
チャージバックが発生してしまったら、どうなるのか?
イプシロンが加盟店様の代理で返金請求の通知を受けた時点で、加盟店様は返金義務を負うことになります。
イプシロン決済サービス利用約款 第17条に基づき、イプシロンが通知した内容(返金額・期日・返金方法)に則り、加盟店様はイプシロンへお支払いいただくことになります。
商品を発送又はサービス等を提供済みの場合であっても、チャージバックは発生し、加盟店様はそれを拒否することはできません。
チャージバックが生じた場合、売上金の支払い・回収につきましては、決済事業者もイプシロンも責任を負いかねますので加盟店様自身で売上金の回収を行っていただきますようお願いいたします。(警察に被害届を出される加盟店様もいらっしゃいます)
なお、下図の通り、イプシロンから加盟店様へのご入金前とご入金後では、チャージバックの流れが異なりますのでご注意ください。
【A】決済事業者手数料を差引いて支払われます。
【B】イプシロンの手数料を差引いてお支払いします。
【C】返金請求には期間制限がありません。イプシロンで過去に実際に発生した例では、1年前のお取引についての返金請求もございました。
【D】イプシロンは、加盟店様からイプシロンへの支払い前であっても、決済事業者へ返金すべき額を立替払いして決済事業者へ支払うことがあります。
【E】イプシロンから加盟店様への支払時に相殺する場合もあります。
加盟店様側で3Dセキュア導入等の対応をすることが、不正利用の防止、または不正利用発生時のチャージバック負担回避につながります。
クレジットカード会社の承認とチャージバック
オンライン決済の場合は、クレジットカード番号及び有効期限、金額にて「承認」、「非承認」の結果を返しており、カード会員の氏名などは認証の対象ではないため、本人確認ができません。つまり、“クレジットカード会社の承認があった=カード会員本人の買い物=チャージバックが発生しない”ということにはならないのです。
クレジットカード会社の承認があっても、クレジットカード会社による立替払い又は代金等に係る債権の回収に向けた手続に入る用意があるというだけであり、必ず立替払い又は債権回収を行うという意味ではありません。
イプシロンでご用意しているチャージバック対策について
クレジットカード不正利用(カード会員本人による利用否認)を防止するには、3Dセキュアが非常に有効な手段です。
2025年3月以降、クレジットカード決済をご契約いただいている加盟店様は、3Dセキュア認証支援サービスを標準機能としてご利用いただけます。
3DS認証状況欄が「本人認証対応/OK(3DS2.0)」もしくは「本人認証対応/未認証(3DS2.0)」となっていれば、チャージバックが加盟店様負担となることはありません。しかしながら、以下の場合は一部免責対象外となる場合もございます。
加盟店様負担となる例
- ■3Dセキュア2.0の金額変更後の留意点について
3Dセキュア2.0を利用した決済を金額変更した場合、3Dセキュア2.0を利用しない決済となります。
そのため、後日カード会社より不正利用などでチャージバックの連絡を受けた場合、受入せざるを得ないことがございます。 - ■ガラケー(フィーチャーフォン)対応について
ガラケー(フィーチャーフォン)からの注文の場合、携帯端末が3Dセキュアに対応していないため、本人認証が行われません。 - ■不正利用(第三者のなりすまし)以外の決済について
3Dセキュアで抑制ができるのは第三者のなりすましによる、いわゆる「不正利用」のみです。
EMV 3-Dセキュアで認証した取引でも、「不正利用以外」の理由でカード会社からチャージバックの連絡を受けた場合は原則チャージバックの対象となります。 - ■クレジットカード会社からの取引情報提供依頼について
カード会社からの利用内容調査が発生した場合、イプシロンが指定する期日までに、配送/サービス提供に関する情報提供が必要となります。
配送/サービス提供状況がカード会社にて確認出来ない場合、チャージバックとなる可能性がございます。(住所不備による商品返送/配送過程での商品紛失/商品受取拒否 等も含む) - ■不正利用多発状況について
不正利用が多発した場合、3Dセキュアを利用した決済であっても加盟店負担となる可能性がございます。
不正利用多発状況によっては、カード会社より契約解除と判断される可能性もございます。
3Dセキュア認証支援サービスの他にもイプシロンは多彩な不正利用対策をご用意しております。
複数の不正利用防止対策を組み合わせて、不正利用からショップを守りましょう。
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保証チャージバック保証サービス
チャージバックに対する料金保証のサービスです。
チャージバック保証サービスをご契約いただくと、チャージバックが発生しても加盟店様はチャージバックの請求額を負担する必要がありません。
保証の上限額は100万円/月(3Dセキュア認証支援サービスを契約している場合)です。 -
予防対策不正検知サービス
事前に不正利用を検知することで、チャージバックを未然に防ぐことができるサービスです。購入者様のメールアドレスをアクル社が保持しているデータベースと照合し、不正利用の可能性が高いか調べることができます。
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予防対策3Dセキュア認証支援サービス(標準機能)
クレジットカード決済時にパスワードなどで追加認証を行います。
イプシロンの3Dセキュア認証支援サービスは3Dセキュア2.0に対応しています。- ※3Dセキュア2.0ではリスクベース認証を採用することで従来の3Dセキュアと比べ、かご落ちの可能性が低減されました。
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予防対策セキュリティコード(標準機能)※追加費用なし
クレジットカードに書かれているカード番号以外の3桁、4桁の番号をセキュリティコードと言います。このセキュリティコードをクレジットカード決済時に確認し決済の精度を高めるサービスです。
管理画面上で設定いただくだけで追加費用なくご利用いただけます。 -
予防対策不正住所照合機能(標準機能)※追加費用なし
ご注文者様、商品送付先の住所をカード会社が取りまとめている過去不正利用が発生した住所と照合できる機能です。
住所の一致、不一致の結果をお取引続行、商品発送の判断材料にご利用ください。
住所の照合は管理画面上で行います。費用のご負担はありません。- ※ご利用は弊社決済サービスのクレジットカード決済で決済されたお取引に限ります。
その他不正対策について
一般的なセキュリティ対策として、以下のような仕組みがございます。
弊社では以下セキュリティ対策ツールやシステム構築の提供は行っておりませんので導入・ご設定に関しましては、各ショッピングカートやシステム構築会社様にご相談ください。
- ・「reCAPTCHA」などの対策ツールを導入
- ・不審なIPアドレスからのアクセスを制限する
- ・クレジットカードの入力回数を制限する
- ・キャプチャ認証を導入する
また、商品発送前に取引内容に不審な点がないか、加盟店様ご自身での確認もお願いいたします。
確認事項
たとえば、こんな決済に注意をしてみましょう。
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STEP1
注文・決済確認
- 注文者の名前が不自然(日本人名なのにローマ字表記など)
- 決済に何度も失敗している
- 似たようなメールアドレスでの決済が続いている
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STEP2
在庫確認
- 商品が高額
- 贈り物になるような商品ではないのに、注文書と商品送り先の住所が違う
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STEP3
発送準備
- 注文者の電話番号が使われていない
- 注文者にメールをしても戻ってきてしまう
- 複数の購入者から、同一の住所に発送が指定されている
- 商品の送り先がウィークリーマンションや私書箱などに指定されている
- 送り先が海外住所(特に東南アジア方面)
対応例
クレジットカード決済の売上請求を取消し、別の決済(代引き・コンビニ決済・ネット銀行決済など)に変更してもらえるよう、購入者にお願いする加盟店様が多いようです。
※商品発送につきましては3Dセキュア認証状況をご確認のうえご判断ください。