IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、中小企業庁の監督により運用される中小企業・小規模事業者を対象とした補助金制度です。インボイス制度や働き方改革など、制度変更に対応するために必要なITツール導入の経費の一部を補助します。
生産性向上に役立つITツールが補助対象となり、補助額は最大で450万円、補助率は1/2~3/4です。目的別に5つの枠組みが用意されていますが、利用する枠組みによって補助対象や補助額は異なります。
複数回にわたって公募が行われているので、公式サイト等でスケジュールを確認しておきましょう。具体的な手続きの流れは後述しますが、まずはIT導入支援事業者と導入したいITツールの選定が必要です。交付確定後は、1ヶ月程度で補助金が入金されます。
2023年(令和5年度)のIT導入補助金
2023年(令和5年度)のIT導入補助金は、以下の5種類に分けられています。補助額や補助対象などの詳細は次項をご覧ください。
申請枠 | 特徴 |
---|---|
通常枠(A・B類型) | 中小企業・小規模事業者の経営をサポートする申請枠。経営課題解決やニーズに合ったITツールを導入することで、生産性向上を図ることが目的 |
セキュリティ対策推進枠 | 不正アクセス・情報漏洩などのサイバーインシデントによる損害や、事業継続が困難になるリスクの低減を目指す |
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型) | 会計ソフトや決済ソフトなどのソフトウェア購入費の一部を補助。インボイス制度開始にともない、デジタル化の支援を目的としている |
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型) | 地域DXの実現や生産性向上への取り組みに対して、複数の中小企業・小規模事業者へのITツール導入を支援するための申請枠 |
デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型) | インボイス制度に対応したITツールを導入するために、費用の一部を補助する。大企業の申請も可能 |
IT導入補助金は5種類
IT導入補助金で利用できる5種類の申請枠は、補助額や補助率、対象に含まれるものなどが異なります。それぞれ詳しく解説します。
通常枠(A・B類型)
通常枠は中小企業・個人事業主が、課題解決や生産性向上を目的としてITツール導入をサポートする申請枠です。さまざまな業種・組織形態で活用でき、最大で450万円の補助を受けられます。
補助対象もソフトウェアやクラウドなど、幅広いシステムの導入に活用可能です。例えば、クラウドツール導入により顧客情報やデータを一元管理でき、情報管理の簡素化・業務効率化を実現するといった活用方法が挙げられます。
通常枠は「A類型」と「B類型」の2種類に分類されますが、必要なプロセス数(業務工程や業務種別)や賃上げ要件が異なるため注意しましょう。また、事業実施効果報告は2024年から2026年まで3回とされています。
以下は、通常枠の補助対象などをまとめたものです。
A類型 | B類型 | |
---|---|---|
補助額 | 5万円~150万円未満 | 150万円~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
プロセス数 | 1プロセス以上 | 4プロセス以上 |
賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
補助対象 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 |
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃によるサイバーインシデントが引き起こすリスク低減を目的として支援する申請枠です。とくにEC事業者は不正アクセスや情報漏洩などによって、会社だけでなくユーザーへも被害が及びます。
個人情報の漏洩や改ざんなどによって会社の信用が低下し、顧客離れや売上減少により企業運営・存続が困難になるケースも考えられるでしょう。セキュリティ対策推進枠では「サイバーセキュリティお助け隊サービス」に掲載されているサービスを対象に、利用料の補助を受けられます。
「サイバーセキュリティお助け隊サービス」とは、サイバーセキュリティ対策を提供するサービスです。24時間365日のネットワーク監視や異常発生時の駆けつけ対応、簡易サイバー保険による補償などをワンパッケージで利用できます。
補助額 | 5万円~100万円 |
補助率 | 1/2以内 |
機能要件 | 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス |
補助対象 | サービス利用料(最大2年分) |
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は、インボイス制度への対応や企業間取引のデジタル化推進を支援する申請枠です。会計・受発注・決済・EC機能をもつソフトウェアが対象となります。
補助額は最大350万円までですが、申請額50万円を境に補助率と機能要件が異なるため十分確認しましょう。
補助額 | 下限なし~350万円 | |
内、~50万円以下部分 | 内、50万円超~350万円部分 | |
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 |
機能要件 | 会計・受発注・決済・ECのうち1機能以上 | 会計・受発注・決済・ECのうち2機能以上 |
対象ソフトウェア | 会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフト | |
補助対象 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 |
また、補助対象経費としてハードウェアの購入費用も申請できます。ただし、ソフトウェアの活用に役立つものであることが条件です。
ハードウェア購入費用 | ||
---|---|---|
補助上限額 | 10万円 | 20万円 |
補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
補助対象ハードウェア | PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機 | レジ・券売機等 |
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)
デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)は、地域DXの実現や生産性向上に取り組む複数の中小企業・小規模事業者を対象にITツール導入を支援する申請枠です。補助対象者は以下の団体になります。
- 商工団体
- まちづくりや商業活性化などに取り組む中小企業・団体
- 複数の中小企業・小規模事業者によって形成されるコンソーシアム
IT導入費用のほかコーディネート費や分析調査、外部専門家への謝礼金も対象です。ソフトウェアの購入については前述した「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」と同様なので、以下の表ではその要件に属さない複数社類型特有の経費をまとめています。
複数社類型特有の経費 | ||
---|---|---|
補助額 | (2)消費動向等分析経費 | (3)事務費、外部専門家謝金・旅費等 |
50万円×参加事業者数 | ((1)+(2))×10%に補助率2/3を乗じた額もしくは200万円のいずれか低い方 | |
補助率 | 2/3以内 | |
補助上限額 | 3000万円 | 200万円 |
対象ソフトウェア | 各種システム(消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、電子地域通貨システム等) | なし |
補助対象 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費 <補助対象ハードウェア> AIカメラ・ビーコン・デジタルサイネージ等 |
デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)
デジタル化基盤導入枠(商流一括インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応したITツール導入を支援する申請枠です。中小企業・小規模事業者と受発注の取引を行う大企業も対象です。
補助額 | 下限なし~350万円 |
補助率 | 中小企業・小規模事業者等:2/3以内 その他の事業者等:1/2以内 |
機能要件 | ・インボイス制度に対応をした受発注機能 ・無償のアカウント発行機能 |
対象ソフトウェア | インボイス制度に対応した受発注機能をもつクラウド型ソフトウェア |
補助対象 | クラウド利用料(最大2年分) |
IT導入補助金の補助対象
IT導入補助金の補助対象となるのは中小企業・小規模事業者ですが、ここでは具体的な業種や従業員数とともに対象ツールについても解説します。
IT導入補助金の対象事業者
IT導入補助金は、指定の資本金や従業員数を下回る中小企業・小規模事業者が補助対象となり、業種・組織形態によってその数値は異なります。具体的には以下のとおりです。
中小企業 | |||
---|---|---|---|
業種・組織形態 | 資本金 | 従業員数 | |
資本金・従業員規模の一方が、 右記以下の場合対象(個人事業を含む) | 製造業・建設業・運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 | |
サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業・旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 | |
小売業 | 5,000万円 | 50人 | |
ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ・チューブ製造業・工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 | |
ソフトウェア業・情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 | |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 | |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
小規模事業者 | |
---|---|
業種分類 | 従業員数(常勤) |
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
また、商工団体(商工会・都道府県商工会連合会・商工会議所)は従業員が300人以下、その他法人(医療法人・社会福祉法人・学校法人)は、100人以下に指定されています。
IT導入補助金の対象ツール
ITツールがすべてIT導入補助金の対象となるわけではありません。ITベンダーやサービス事業者がIT導入支援事業者として登録し、事務局から認定を受けたITツールのみが補助対象です。
補助対象となるITツールは、大きく4つのカテゴリーに分けられます。以下はカテゴリーの概要とツール例です。
カテゴリー | 内容 | ツール例 |
---|---|---|
ソフトウェア | ソフトウェア製品・クラウドサービス | RPAやOCRの自動化・効率化ツール、グループウェア、財務会計ソフトなど |
オプション | 拡張機能・データ連携ツール・セキュリティ | ファイル管理などのユーティリティー、EAI・ETL製品、セキュリティ対策ソフトなど |
役務 | ITツール導入における付帯サービス | 導入コンサルティング・導入設定・マニュアル作成・導入研修・保守サポート |
ハードウェア(デジタル化基盤導入類型用のみ) | ソフトウェア導入に必要なハードウェア | PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機・POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機 |
IT導入補助金の公式サイトからITツールの導入を支援するITベンダー・サービス事業者、またITツールを検索できるのでぜひご活用ください。
IT導入補助金の手続きの流れ

IT導入補助金の基本的な申請プロセスは、以下のとおりです。
- 1. ITツールとIT導入支援事業者の選定
- 2. 「gBizIDプライム」アカウントの取得
- 3. 「SECURITY ACTION」の宣言
- 4. 経営チェックを実施
- 5. 交付申請
- 6. ITツールの発注・契約・支払い
- 7. 事業実績報告
- 8. 補助金交付手続きと事業実施効果報告
まず、利用したいITツールとIT導入支援事業者を選定します。「IT導入支援事業者・ITツール検索」のページで検索しましょう。
「gBizID」は、1つのIDとパスワードでさまざまな行政サービスにログインできるサービスです。IT導入補助金の申請時には「gBizIDプライム」のアカウントが必要です。
くわえて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する「SECURITY ACTION」の宣言も求められます。これは中小企業・小規模事業者等が、情報セキュリティ対策への取り組みを自己宣言する制度で、「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が必要です。
「gBizID」で「みらデジ」のサイトに登録して経営チェックを行えば、いよいよ交付申請です。IT支援事業者と商談を進めながら「申請マイページ」で手続きを進めていきます。申請完了後、事務局より交付決定を受けたあとにITツールの発注や契約、支払いを行いましょう。交付決定前に行ってしまうと補助を受けられないため注意してください。
また、交付申請完了後には、契約や支払いを行ったことがわかる書類を添付した事業実績報告の提出が必要です。提出が完了すると補助金額が確定し「申請マイページ」で金額を確認することで交付されます。
交付後は事業実施効果報告の提出が義務付けられているので、期限内に忘れずに提出しましょう。
簡単にIT導入補助金を申し込むならmakeshop経由がおすすめ
IT導入補助金にはコンソーシアムという登録方法があり、活用することでより効率的に申請手続きが行えるうえに採択率向上も見込めます。コンソーシアムで登録するならECサイト構築にも強いmakeshopがおすすめです。
makeshopとは
補助金制度を使ってECサイトを構築するなら、IT導入補助金「デジタル化基盤導入類型」の対象となっているmakeshopをおすすめします。
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行政書士法人との連携によるサポートも提供しており、煩雑な補助金申請手続きも安心です。
makeshopで補助対象となるツール
makeshopでは初期費用や料金プランだけでなく、オプションサービスも補助対象です。makeshopで対象となるソフトウェアとオプションを紹介します。
ソフトウェア(いずれか必須) | makeshop初期費用 makeshop(12ヶ月または24ヶ月) makeshopエンタープライズ初期費用 makeshopエンタープライズ(12ヶ月または24ヶ月) |
オプション(任意) | BtoBオプション 定期購入オプション WordPress連携オプション イーレコメンド カタログ注文機能 予約販売 MakeRepeater ケータリング・デリバリーオプション 複数ショップ会員連携機能 コンサルティングサービス 産地・メーカー直送システム シークレットショップ機能 makeshop for PCA makeshop for 奉行 |
makeshop経由でIT導入補助金を申し込む方法
makeshopはコンソーシアムを組成し、申請支援体制を強化しています。コンソーシアムとは幹事社1社と構成員からなる形態で、要件を満たしていれば単独ではIT導入支援事業者として活動できない法人や個人事業主も構成員として参画が可能です。
makeshopが幹事社となることで、構成員はIT導入補助金を活用したECサイト構築プランを提案できます。幹事社であるmakeshopがノウハウの提供や申請作業を行うことにより、採択率の向上も期待できるでしょう。
構成員になるまでの流れは以下のとおりです。
- 1. パートナー制度への登録
- 2. IT導入補助金およびコンソーシアム協定における資料の提供
- 3. コンソーシアム協定書締結
- 4. EC案件発生
- 5. 交付申請
- 6. 採択結果共有
- 7. 実績報告
- 8. 効果報告
ECサイトを構築するなら決済機能はGMOイプシロンで

IT導入補助金はインボイス制度や働き方改革などに対応し、生産性向上や職場環境改善を目的としたITツールの導入をサポートする制度です。5つの申請枠が用意されており、それぞれ目的や補助金額、補助率、補助対象などが異なるので、活用前には十分確認しておきましょう。
IT導入補助金を活用したECサイト構築を検討しているなら、makeshop経由の申し込みがおすすめです。豊富な機能と自由度・コストパフォーマンスの高さを強みとし、コンソーシアム形態によりIT導入補助金の申請支援も行っています。
またmakeshopでECサイトを構築する場合、決済機能の導入が別途必要です。決済機能には公式決済のGMOイプシロンがおすすめです。多様なキャッシュレス決済に対応しており、高いセキュリティ環境により安全・安心にECサイトを運用できるでしょう。
makeshopのIT導入補助金について、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
【2023】IT導入補助金/コンソーシアム
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