カゴ落ちとは

カゴ落ちは「カート放棄」とも呼ばれます。ECサイトを訪れた利用者が一度は欲しい商品を選んでカートに入れておきながら、精算を完了する前にECサイトから離脱してしまい購入に至らないことです。
カゴ落ちが起こっているということは顧客を自社ECサイトに誘導し、欲しい商品を選んでもらうところまではできています。つまりマーケティング施策による自社ECへの誘導と、サイト内においても利用者の購買意欲をそそる品ぞろえやセールスコピー・写真の工夫は成功しているといえます。
しかし何らかの原因で利用者が購入手続きを中断してサイトから離れているため、売上機会は逃してしまっています。カゴ落ちの原因は複数あるため、十分把握して対策しましょう。
カゴ落ちはよく起こる?

アメリカのBaymard Institute社が実施した2023年の調査によれば、一般的なECサイトで発生するカゴ落ちの確率は70.19%でした。すなわち10人中7人強の顧客が、多かれ少なかれ購入の意思があったにもかかわらず、結果として購入しなかったことになります。
また国内のデータについては、株式会社イー・エージェンシーが2022年に実施した調査が参考になります。調査によるとカゴ落ちの確率は約64.7%と、アメリカでの調査結果と大きく変わりません。くわえてカゴ落ちによる売上機会損失は、平均して売上の2倍に相当することもわかっています。
カゴ落ちはECサイトの売上が伸び悩む大きな理由のひとつです。また、カゴ落ちが発生する原因にはさまざまな要素があり、それぞれに十分対策する必要があります。
主な11のカゴ落ちの原因と対策

主なカゴ落ちの原因は次の11項目です。
- よく使う決済方法を選べない
- クレジットカード情報を入力したくない
- 画面遷移中に離脱してしまう
- 合計金額が想定よりも高かった
- 購入完了までのプロセスが複雑
- アカウント作成が必要
- 途中でエラーや画面のクラッシュが起きた
- 返品ポリシーに懸念があった
- 配送が遅い
- クレジットカード決済が拒否された
- 買い物かごに入れただけ
それぞれの詳細と対策について以下で解説します。
よく使う決済方法を選べない
よく使う決済方法を選べないことはカゴ落ちの原因のひとつです。上でも紹介したBaymard Institute社の調査によると、決済方法を選べないためにカゴ落ちした確率は11%とのことでした。
昨今では決済方法が多様化しており、どれを利用するかは顧客によって異なります。特にクレジットカードやバーコード決済などキャッシュレス決済については、ポイント還元率やキャンペーンなどを考慮したうえで利用する決済方法を決めるという方も多いでしょう。
そのためECサイトで商品を選んでカートに追加しても、よく利用する決済手段を選べないとわかれば、ほかのECサイトに流れてしまう恐れがあります。まったく同じ商品や類似の商品を同程度の価格で他ECサイトでも見つけられる可能性は高く、ひと手間かけてもお得な決済方法で購入することが節約法として定着してきています。
カゴ落ち対策としてはあらかじめ豊富な決済手段を揃えておき、幅広いユーザーの取りこぼしを防ぐことが重要です。
クレジットカード情報を入力したくない
ECサイトのセキュリティを信頼できず、クレジットカード情報を登録・入力することがためらわれて購入を中断するケースもあります。前述の調査ではカゴ落ちの原因として19%を占めています。
Amazonや楽天のような大手ECサイトならセキュリティへの不安を感じることは少ないかもしれませんが、個人で運営しているECサイトの場合、セキュリティレベルがどれほど高いのか利用者にはわかりません。
この原因によるカゴ落ちを防ぐためには常時SSL対応をする、EV認証のような高度なSSLサーバー証明書を取得するなど、国際準拠のセキュリティ対策を実施しましょう。くわえてどのような対策を行っているのか利用者にアピールすることも重要です。
合計金額が想定よりも高かった
手数料や送料など商品代と別にかかる費用がわかりにくい場合や、合計金額が想定よりも高いために購入意欲が削がれて決済を中断し、サイトを離脱するケースもよくあります。
なお先述の調査においても「最初の画面で合計金額が分からない」「合計金額を計算できない」ことが原因であるカゴ落ちの割合は17%です。くわえて、送料や課税などによって合計金額が想定よりも高くなったことによるカゴ落ちの割合は47%と、最も多いカゴ落ちの原因とされています。
この原因によるカゴ落ちを防ぎ利用者の利便性を高めるためにも、決済の合計金額を最初からわかりやすくしたり、送料無料の商品を設定して追加費用を減らしたりすると良いでしょう。
購入完了までのプロセスが複雑

カゴ落ちが発生する原因として、購入が完了するまでに経なければいけないプロセスが長かったり、複雑であったりするために途中で購入意欲が萎えてしまい、決済に至らないといったケースもあります。
先述の調査では次項の「画面遷移中に離脱してしまう」と合わせて、購入完了までのプロセスの長さ・複雑さがカゴ落ちの原因の18%を占めます。
改善策としては購入フローを簡略化する、不要な入力項目を極力少なくする、入力しやすいUIになるようにECサイトを見直す、決済方法をわかりやすく表示するといった施策が必要です。
画面遷移中に離脱してしまう
決済に進む際に画面遷移があり、ページが切り替わる前に時間がかかると煩わしく感じてサイトから離脱してしまうケースも少なくありません。上記の調査によれば、前項の「購入完了までのプロセスが複雑」と合わせて、カゴ落ちの18%がこれに該当します。
ECサイトや決済画面がスピーディーに動作することはカゴ落ちを防ぐ対策として欠かせません。具体的には、自社ECサイトに合った決済画面への接続方法を選べる決済代行業者を利用する方法がおすすめです。接続方法には主に4種類あります。くわしくは以下の記事をご参照ください。
オンライン決済の接続方式|それぞれの特徴やデメリットも解説
アカウント作成が必要
購入するためにアカウント作成が必要な場合もカゴ落ちが発生しやすいといえます。上記の調査によれば、25%もの利用者がこの理由によって購入せずにサイトを離脱しています。
ECサイト運営側の心理としては、一度購入した顧客にリピーターとなってもらうために会員登録してもらいたいと考えるでしょう。しかし利用者にとっては、また利用するかわからないECサイトへの会員登録には抵抗感を覚えるものです。不要なメルマガやダイレクトメールを回避したいあまり、会員登録不要で購入できる他サイトへ流れてしまいかねません。
この原因によるカゴ落ちを防ぐためには、会員登録してもらう場合は入力の手間をなるべく減らせるようにすることや、会員登録やアカウント作成を義務としないことも重要です。
途中でエラーや画面のクラッシュが起きた
利用者の購入意欲が強い場合であっても、決済までの画面においてクラッシュやエラーが発生してページが強制終了されてしまったり、決済ができなかったりすることもあります。その場合、商品選択や決済手続きをやり直さなければならず、そのまま購入せずにECサイトを離脱してしまう恐れがあります。
一度エラーが起ると、やり直してもまた途中でページが落ちてしまうのではないかと考えられてしまい、ECサイトへの信頼感が損なわれます。ほかのサイトでも購入できる商品であれば、そちらへ流れてしまう場合もあるでしょう。
先述の調査でも、カゴ落ちした原因の14%がECサイトのエラーやクラッシュとなっています。
購入までのプロセスでエラーや画面のクラッシュが起きる原因として、インターネット回線やECサイトのシステムが不安定なことが考えられます。EC運営者側ができる対策としては、回線やシステムを安定させたり、サイトの表示スピードを見直したりしましょう。
返品ポリシーに懸念があった
ECサイトの運営側としては、返品リスクはできるだけ避けたいと考えるでしょう。しかし、返品しにくくする意図で返品ポリシーを明示していなかったり曖昧な内容を記載していたりすると、サイトの信頼を損ねかねません。
なぜなら利用者が返品ポリシーに納得できないことも、カゴ落ちにつながるからです。前述の調査でも、返品ポリシーに納得できないことがカゴ落ちの原因の16%を占めています。
購入したものの何らかの事情により返品せざるを得ない利用者が一定数存在する以上、顧客側の都合でも返品・返金できる安心感が、ECサイトへの信頼感や購買意欲向上につながるのです。よってカゴ落ちを回避するためには、利用者に納得してもらえる返品ポリシーを設定する必要があります。
くわえて、返品ポリシーは利用者の目につきやすいところに提示してわかりやすくするなど、利用者目線に立ったECサイトの構築を心がけましょう。
配送が遅い

配送が遅いこともカゴ落ちの大きな原因であり、前述の調査でも離脱率が24%となっています。購入してから発送されるまでに日数がかかる場合は、より発送の早い競合ECサイトに流れやすくなります。在庫が国内になく海外から発送する場合なども、利用者の手元に届くまで日数がかかるため要注意です。
対策としては配送業者や配送方法の選択肢を増やしておくと良いでしょう。くわえて、すぐに商品が欲しいユーザーや平日に不在が多く配送を受け取れない利用者に向けて、即日発送オプションや到着日・到着時間指定オプションなどを設けるといった対策がおすすめです。
クレジットカード決済が拒否された
クレジットカード決済が拒否されたこともカゴ落ちの原因のひとつです。利用限度額超過のように利用者側に原因がある場合やクレジットカード会社側にトラブルが発生している場合、ECサイトのシステムにエラーが発生している場合などに起こります。
そうなると購入を断念し、そのままECサイトを離脱してしまう可能性が高いでしょう。上記の調査では、カゴ落ちの原因の6%がクレジットカード決済の失敗によるものとなっています。
対策としては、別のクレジットカードで決済できるように利用できるクレジットカード会社を増やすことや、クレジットカード以外の決済手段も豊富に用意しておくことが重要です。また、ECサイト側が原因のエラーを発生させないように、システムを改善するといった対策も有効です。
買い物かごに入れただけ
なかには購入を決める前に、ひとまずカートに商品を入れておくといった利用者もいます。利用者はさまざまなネットショップを見てコストパフォーマンスなどを比較するために「このECサイトで購入するかどうかはまだわからない」「ここで購入するかもしれないので、ひとまずカートに入れておこう」など、軽い気持ちでカートに追加しているパターンもあります。
その場合、すぐに購入に至らなくても「競合で購入を決めた」とは限りません。カートに商品を追加したことを忘れているだけの場合もあります。そのような利用者には購入を促すアプローチを行えば、売上機会を逃さずに済む可能性もあるでしょう。
対策として、カートに商品が入ったままの利用者にメールや通知を送ったり、クーポンを配布したりして購入意欲をかき立てるといった施策を講じると効果が期待できます。
カゴ落ちを防ぐには

カゴ落ちの原因のなかにはクレジットカード利用限度額の超過や、インターネット回線の不具合など利用者側の問題もあるものの、多くの原因はECサイト運営側での対策が可能です。
例えば、幅広い利用者のニーズに対応できるように豊富な決済方法を取り入れることや、利用者の手間を減らして利便性を高めるためにUIを見直す、セキュリティを高めてそれをアピールするといった対策をECサイト運営者は講じることができます。
特に決済手段に関しては、インターネットショッピングにおいて最も人気が高いクレジットカード決済だけでなく、クレジットカードを持っていない層でも利用できるコンビニ決済・QRコード決済などもECサイトに導入しておきましょう。
くわえて十分なセキュリティ対策や画面推移の少ない決済システムにするなど、さまざまな対策を簡単にまとめて行うなら、信頼できる決済代行業者を利用する方法がおすすめです。
決済代行業者はGMOイプシロン

豊富な決済手段を一括で申請・導入するなら、決済代行業者のGMOイプシロンがおすすめです。初期費用やトランザクション処理料が一切かからないことにくわえて、オプションでカゴ落ちに備えたマーケティング施策も利用できます。
さらに画面遷移の少ない接続方法や、国際基準に準拠しているセキュリティ対策なども簡単に導入できます。
またシステムに問題があり改善したい場合や、より利便性の高いシステムを構築したい場合は、GMOイプシロンが提供するfincodeの活用もおすすめです。
fincodeならスピーディーに決済を導入でき、現在利用できる決済手段にくわえて、アップデートにより新しい決済手段への対応も予定しています。セキュリティ対策・不正利用対策の実績も豊富で、サポートチームによる手厚いサポート体制も整っているため安心して利用できるでしょう。
十分対策してカゴ落ちを防ごう

ECサイトにおけるカゴ落ちは利用者の70%を超えており、カゴ落ちによる売上機会の損失は売上額の2倍にも相当するといわれています。カゴ落ちには多くの原因があり、ECサイトの売上アップを目指すなら、それぞれの原因を把握したうえで対策を講じなければなりません。
主な対策として豊富な決済手段の導入と、スムーズで利便性の高いシステムの構築が挙げられます。決済代行会社のGMOイプシロンを利用すれば、多数の決済手段の一括申請・導入が可能になり、セキュリティ対策も万全です。
またGMOイプシロンが提供する決済システムfincodeなら、豊富なドキュメントがありカスタマイズ性も高いため、新しい決済手段への対応やセキュリティ対策、不正利用対策も手軽にできます。テスト環境は完全無料で利用可能です。
ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。
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